201910|アドリブ月誌

TOYO LIVING
タイトル
  • 2019年10月(1)
  • 2019年10月(2)
これが「弥生軒」名物のから揚げそば。
から揚げが大きいのがわかるでしょう。
やや軟らかめの立ち喰い蕎麦らしい麺。
うどんも人気があってオーダーする人は多い。
  • 2019年10月(3)
店の壁には「僕が働いていた所です。あじは
いかがですか。山下清」と貼り出してあります。
左はお弁当の掛け紙を拡大したものです。
     ※ 本ブログの画像転載、文章の転載を固くお断りいたします。
常磐線 我孫子駅 山下清画伯がいた蕎麦屋             19/10/18
 こんにちは、阿部秀之です!まずは、続けて襲ってくる台風による被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。ニュース映像で見る度に心が痛みます。1日も早い復興を願っています。毎年のようにこういった大雨の被害があるともはや異常気象ではなく、梅雨明けや台風で災害が起きるほどの大雨が降るのが、日本の日常と考えた方がいいのでしょう。根本的な対策が必要に思います。

 そして、ほかにも残念なニュースが流れてきました。天皇陛下の即位に伴って10月22日に予定していたパレード「祝賀御列の儀」の延期。2020年東京オリンピックの男女マラソンと競歩について国際オリンピック委員会は暑さ対策として会場を東京から札幌市へ移すことを検討していると発表しました。すべて今の日本の気象が原因といえる問題です。

 嬉しくないニュースばかりなので、少し楽しい話題にしましょう。5年ほど前から水戸に仕事で行くようになりました。水戸といえば、水戸黄門はもちろん、梅、納豆、あんこうで有名です。それでは、東京と水戸の間にはどんな町があるのかと調べていたら、面白いものを見つけました。常磐線の我孫子(あびこ)駅のホームに「弥生軒」という立ち喰い蕎麦屋があるのです。なんと、この店の壁には
「ぼくがはたらいていた弥生軒のおそばおいしいよ 山下清」と書いてあったのです。今年は「僕が
働いていた所です。あじはいかがですか。山下清」と更新されていました。山下清さんといえば、放浪画家として有名です。本当にこの我孫子駅の立ち食い蕎麦屋にいたのでしょうか?調べてみると意外なことがわかりました。

 2016年に弥生軒を取材した東洋経済ONLINEからの抜粋です。
 清さんが蕎麦を打っていたわけではありません(笑)。弥生軒は昭和3年に創業し、我孫子駅構内での弁当販売をしていました。清さんは昭和17年から5年間、住み込みで働いていたようです。手先が器用で、弁当のラベルを貼ったり紐でしばったりなど、細かい作業をしていたとのことです。突然ふらりといなくなり、きっちり半年後に帰ってくる。これを5年間繰り返し、最後にとうとう帰ってこなかったらしい。そして時が経ち、店の経営者は山下さんが画伯として有名になったことを知ります。

 再会後には山下清画伯の絵を元にお弁当の掛け紙を作ったそうです。昭和20年当時の我孫子駅の
夏の風景らしい。当時はSLが走り、お弁当も立売で売っていたとのことです。お蕎麦のイチオシは、とりのから揚げがのった蕎麦です。とり肉はムネではなくモモです。モモ肉が美味しさの決め手でしょう。とても大きくてボリュームがあります。ときたま、から揚げ2枚のせをオーダーする人がいるので驚きます。初めて食べて以来、水戸に行くときは我孫子駅で途中下車をしてから行くのがコースになりました。その度に山下清画伯の自由な暮らしぶりに憧れます。我孫子駅を通ることがあったらお立ち寄りください。気が付けば、先月も上田のうどんの話で、今月も蕎麦の話になってしまいました。すみません。では、また来月!

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